2026年シーズンに向け、オラクル・レッドブルのフェルスタッペンのチームメイト候補についてさまざまな憶測が飛び交っている。前半戦で角田裕毅は連戦ノーポイントに苦しんだが、ベルギーGPで投入された新エアロパッケージによって急激にペースが改善。実際、ハンガリーGPでは練習走行段階でフェルスタッペンと僅差の速さを見せたと本人も語っていた。この結果を受け、レッドブル陣営は角田に対し「残り数戦で結果を残せるか」を判断基準とし、2026年シートに向けた期限を設定したと報じられている。

  これまでの現状と憶測

一方でアイザック・ハジャルは、レーシングブルズでの活躍が評価され、2026年シーズンのレッドブル本隊昇格候補ではないかと憶測も立っている。メディアには「ハジャルは来季フェルスタッペンのチームメイトに昇格する可能性が高い」との見方が示されており、チーム内ではハジャルへの期待が高まっている。さらにアービッド・リンドブラッドはFIA-F2で複数勝利を挙げた若手で、レッドブルは彼にも高い評価を与えている。レッドブルは彼を「F1参戦準備プログラム」の一環として育成中と報じられている。実際、2025年F2選手権でリンドブラッドは2勝を含む好成績を記録しており、チームは早期参戦への布石を進めている可能性がある。

これらの報道からは、角田のシートが確約されているとは言えない状況が浮かび上がる。レース前半戦から「角田の後継候補」としてハジャルやパロウ(インディカー王者)の名前も取り沙汰され、特にハジャル昇格説はサマーブレイク前から報じられていた。ただし夏休み以降、角田はパフォーマンスを取り戻しつつあり、チーム側も慎重に判断を進めている模様だ。

 これまで下したレッドブルの結果主義とは

レッドブルの「セカンドシート」は伝統的に手厳しく評価されてきた。これまでマックス・フェルスタッペン以外のドライバーとして、ダニエル・リカルド、ピエール・ガスリー、アレクサンダー・アルボン、セルジオ・ペレスなどが起用されてきた。

これらのドライバーはマックスとの比較で結果を求められ、達成できなければ短期間で交代する例が多い。例えば、ガスリー(2019年)とアルボン(2020~21年途中)は評価をもとに早期で抜擢され、マックスに対抗できず、早期に降格された。今季も角田は10戦でわずか12ポイント(チームの5%)と振るわず、RB21で最下位フィニッシュが続いている。チーム幹部は有望株への期待を公言しつつ、結果を出せないドライバーには厳しい判断を下す傾向がある。

│進化の芽が出つつある角田

2025年第15戦オランダGP(ザントフォールト)直前、角田は車体更新の効果で一気にペースを上げた。彼自身も「今回のアップグレードでパフォーマンスが劇的に改善した」と認め、ハンガリーGPではFPからマックスと並ぶ速さを示したと振り返っている。チームはこの改善を好意的に評価しており、チーム代表のマルコも「角田は速さが必要だ」と強調した。マルコはオランダGP後に「角田に求めるのは『一貫性と速さ』だけだ」と述べており、彼が安定した結果を残せるかが今後の鍵になる。

なお、オランダGPでも角田はフェルスタッペンと同スペックのマシンで決勝9位に沈んだが、マルコは「たまたま運が悪かっただけだ」と一定の擁護を示していた。

│角田裕毅にとって別の選択肢

角田に関しては、2026年にセカンドカーが空くアルピーヌへの移籍説も一部で報じられた。しかし信憑性には疑問が多い。

ある報道によればアルピーヌはコラピントのパフォーマンスに不安を抱え、交渉候補に角田の名前もあったと伝えられたとのことだ。一方で、実際にはアルピーヌはセルジオ・ペレスやバルテリ・ボッタスと交渉していたものの、契約複雑なコラピントの座を放棄できず、交渉が頓挫し2人はキャデラックとの契約を結んだといった経緯がある。

コラピントは多額のスポンサー料が絡んだ契約を結んでおり、アルピーヌは当面彼を保持せざるを得ない見方が強い。GPblogによると、実際にはアルピーヌ側で角田の具体的オファーは取り沙汰されておらず、移籍の可能性は限定的と考えられる。つまり、角田のアルピーヌ移籍報道はあくまで噂の域で、現時点では決定的な動きは確認されていない。

│ドライバー交代のメリット・デメリット

もしレッドブルがセカンドシートを変更するならば、得られる利点とリスクを天秤にかける必要がある。

メリットとしては、若手有望株を抜擢することでマシンパフォーマンスが向上する可能性がある点だ。実際、ハジャルのようなルーキーは勢いのある走りで結果を残すこともある。

一方、デメリットとしては、チーム内の安定性が一時的に損なわれる恐れがある。角田自身も「RB21は非常にドライブが難しい」と述べている。新参者、特に1年目のドライバーにとってこのマシンの適応に慣れるまで苦労が伴うだろう。

さらに、リンドブラッドなど他の若手昇格プランも見据えなければならず、角田を残留させればその分リンドブラッドの参戦時期が先延ばしになる可能性も指摘されている。マルコは「角田には一貫した速さを求める」と明言しており、現状では性能と結果を総合判断して最適解を選ぶ方針と見られる。

参考文献: the-race.comf1journal.netracingnews365.commotorsport.com

※現時点で未確定な情報も含まれています。