F1ドライバーのバルテリ・ボッタスは、2026年のグリッド復帰に向けてレッドブルおよびアルピーヌといった有力チームや新チームのキャデラックなど、自身の将来の選択肢として検討していることを明かした。F1公式ポッドキャスト「Beyond The Grid」に出演した際、35歳のフィンランド人ドライバーは、自らの現状と将来へのビジョンを率直に語った。

「遅すぎた」決断と失われたチャンス

キック・ザウバーで3シーズンを戦った後、2024年11月にチームを離れることが発表されたボッタス。しかしその知らせは、彼にとってあまりにも遅かったという。

「それが問題だった」とボッタスは振り返る。

「ブラジルGPの後に知らされたんだ。他の人の方が先に知っていたかもしれない。すべてが不確かになって、もう他のチームと話をするには遅すぎることに気づいた。運が悪かったよ」

(Beyond The Grid)

2025年シーズンはメルセデスのリザーブドライバーとしてF1に留まりながら、レース復帰の道を模索するボッタス。注目の候補の一つがレッドブルだ。

「彼らがアカデミー外から選ぶかどうかは分からない。レーシング・ブルズもあるし、彼らには多くの若手ドライバーがいるから」

と慎重な姿勢を見せつつも、あのマシンを速く走らせるには、経験豊富なドライバーが必要じゃないかと思うと自身の価値を強調した。

一方で、レッドブルとの過去のやりとりについては、興味深い背景も語られた。

「レッドブルの組織内には、個人的に私のことをあまり好んでいない人がいると思う。それで話はすぐに終わった。でも、それもまた人生だよね」

もう一つの可能性、アルピーヌとの関係

レッドブルに加え、アルピーヌもボッタスにとっての“現実的な選択肢”となり得るチームの一つだ。現在、アルピーヌはピエール・ガスリーのチームメイトとして、ジャック・ドゥーハンやフランコ・コラピントら若手ドライバーを起用する可能性を模索している。

ボッタス自身は交渉の最前線に立っていたわけではないが、マネジメントチームを通じてコンタクトはあったと明かしている。

「将来的にメルセデスのパワーユニットを使うことになるという点で、彼らはいい判断をしていると思う。経験が求められる状況なら、僕にもチャンスがあるかもしれない」

とはいえ、F1における“政治的な現実”についても言及。

「このスポーツには政治的な駆け引きがある。僕は何千万ドルも支払ってシートを得ることはできない。でも、一緒に戦ってくれるパートナーはいるし、チャンスが訪れる可能性はある。数レースを見守って、どうなるかを判断したい」

ボッタスに再びチャンスは巡ってくるか?

F1通算10勝を誇る実力者・バルテリ・ボッタス。キャリアを通じて、スピードだけでなく、安定感やチームプレイヤーとしての資質でも高い評価を受けてきた。

メルセデス時代にはコンストラクターズタイトルに大きく貢献し、ザウバーでもチームの変革期を支えたボッタス。そんな彼は今、リザーブドライバーとしてF1に残りながら、再びグリッドに戻る機会を虎視眈々と狙っている。

F1は若手重視の傾向が強いが、マシン開発やチームの安定に貢献できるベテランの価値は依然として大きい。2026年の大きなレギュレーション変更を見据える中で、経験豊富なボッタスに声がかかる可能性は十分あるだろう。

果たして、彼の“第2章”はレッドブルか、アルピーヌか、それともキャデラックか。F1ファンにとって、今後のボッタスの動向から目が離せない。