F1のレース中、チームとドライバーの無線で「マーブル」という言葉が使われることがある。
これは、F1ドライバーにとって重要な路面情報のひとつだ。
ここでは「マーブル」が何を指すのかを、簡単に説明する。

マーブルとは何か

マーブルとは、走行中に削れたタイヤのゴム片が路面に溜まったものを指す。

F1マシンに使われるタイヤは、一般の市販車用タイヤとは構造が大きく異なる。
F1のタイヤは高いグリップを生む代わりに、走行中に表面が削れやすい。

走行によって削れたゴムは、黒い粒や塊となってコース上に落ちる。
これが「マーブル」だ。

レース中、F1マシンは最もグリップの高い走行ラインを繰り返し走る。
そのため、走行ラインの外側には使われないゴムが溜まりやすくなる。

結果として、マシンが走るラインと走らない部分の違いが、路面上ではっきり見えるようになる。

│なぜマーブルが問題になるのか

マーブルはタイヤのゴムでできているため、タイヤの表面に付着しやすい。

F1マシンに使われるスリックタイヤには溝がない。
そのため、一度マーブルが付着すると、タイヤ本来のグリップが急激に低下する。

仕組みを簡単に例えると、粘着テープにゴミが大量に付くと、粘着力が弱くなる状態に近い。
マーブルが付いたタイヤも、これと似た状態になる。

特にオーバーテイクの場面では、F1マシンが通常の走行ラインから外れる。
この時、ドライバーはマーブルの多い路面を通過することになりやすい。

│レースでの使われ方

順位を守る側のドライバーは、ディフェンスの際に相手を走行ラインの外へ誘導することがある。
これは、相手にマーブルの多い場所を走らせ、グリップ低下を狙うためだ。

このような駆け引きは、F1レースでは重要な戦術のひとつとなっている。

また、レース終了後にドライバーがコース上のマーブルを拾う場面が見られることがある。
これは、車両重量の規定を満たすためだ。

F1マシンには、レース後に最低重量が定められている。
一方で、レース中の燃料は限界まで使い切るよう設計されている。
そのため、チームの指示により、レース後に少しでもマシンの重量を増やす目的でマーブルを拾う場合がある。

次にF1を観戦する際は、マーブルを踏んだ直後のマシンの挙動やタイムにも注目してほしい。
マーブルは、見た目以上にレースへ大きな影響を与える存在だ。