F1のレース中、勝敗を左右する重要な瞬間のひとつが「ピットストップ」。
その中でもしばしば議論を呼ぶのが、「アンセーフ・リリース(Unsafe Release)」という違反だ。
見た目には地味だが、時に大事故につながる可能性をはらむこのルール。
今回はその仕組みと背景を解説していく。
✅ まとめポイント
-
アンセーフ・リリースとは?:ピット作業後、他車の進路を妨げる形で発進すること
-
なぜ問題?:接触・事故の危険が高く、ドライバーの安全に直結
-
誰の責任?:基本的にはチーム(ピットクルー)の判断ミス
-
ペナルティは?:タイムペナルティや罰金、場合によってはレース後審議も
│ピット作業って何をしてるの?

F1のピットストップでは、タイヤ交換やフロントウィング修理がわずか数秒で行われる。
その間、他のマシンもピットレーンを通行しており、タイミングが重なることも。
このとき重要なのが「いつクルマを発進させるか」という判断だ。
│ アンセーフ・リリースってどういう状況?
典型的なのは以下のようなケース:
-
チームが急いで車を発進させたら、隣のチームのマシンがピットレーンを走っていて、危うく接触しそうになった
-
ピットから出たマシンが、他車に無理やり前に出て走行ラインを塞ぐ
このように、他車の妨げになる形でピットアウトすると「アンセーフ・リリース」と見なされる。
│ ドライバーは悪くないの?
実は、ピットアウトの判断はピットクルー(ロリポップマンやライトシステム)に委ねられている。
ドライバーは信号が「GO」になればアクセルを踏むしかない。
そのため、責任は多くの場合、チーム側にある。
│ なぜそんなに厳しいの?
ピットレーンは作業員(人)が多数いるエリアであり、速度制限もある特殊な空間。
もしマシン同士が接触した場合、跳ね飛ばされた部品や衝撃で作業員に被害が及ぶ危険性がある。
そのためFIAは、アンセーフ・リリースに対して厳しく取り締まっているのだ。
│ 最近の傾向と今後
近年では、FIAの映像・センサー技術の強化によって、ピット作業の安全性は格段に向上。
とはいえ、コンマ1秒を争う世界で、チーム側が「ギリギリを攻める」場面も多く、今後も議論の種となる可能性は高い。