2025年シーズンも折り返し地点を迎える中、ニュージーランド出身の若手F1ドライバー、リアム・ローソンが自身の“激動の1年”をF1公式メディアに語った。昇格、降格、再出発を経験しながらも、彼の視線は常に前を向いていることがわかった。

ローソンの名前が注目を集めたのは2023年。怪我を負ったダニエル・リカルドの代役としてF1デビューを果たすと、その落ち着いた走りで多くのファンと関係者の心を掴んだ。

そして2025年、ついにレッドブル・レーシングの正ドライバーに大抜擢するもその夢は長くは続かず、わずか2レースで姉妹チーム「レーシング・ブルズ」へ戻されてしまった。

│ 降格…それでも失わなかった「自信」

レッドブル時代のリアム・ローソン

本人もその決定には悔しさをにじませましたが、自信は失っていなかったと言う。

「外からはいろんな憶測があったけど、僕自身はまったくブレてなかった。自信は最初から変わっていないよ」

実際、レーシング・ブルズに戻ってからのローソンは、安定したパフォーマンスを続け、着実に結果を出し始めている。特に印象的だったのがオーストリアGP。予選を突破して6位入賞を果たし、再びその実力を証明した。

│課題は「一貫性」

ローソンが今、もっとも意識しているのが“安定感”。

F1はほんのコンマ1秒の差で結果が大きく変わる世界。中団チームに所属するローソンにとって、毎戦ポイントを狙うにはわずかなミスも許されないのだ。

「Q2進出も、ちょっとの差で届かなくなる。本当に拮抗した戦いなんだ」

それでも、「今のマシンの状態は良いし、自分の感覚も戻ってきている」と前向きに見ている。これもローソンの強みの一つだろう。

│未来ではなく、「今」に集中する理由

こうした浮き沈みの激しい経験を経て、ローソンは今、来年のことより“いま目の前のレース”に集中している。

「1レース1レースを大事にしてる。来年のことを考えるよりも、次の週末にどうやって結果を出すかを意識してるんだ」

実際、今シーズンはすでに23戦のうち半分以上が終了。ローソンにとっては、まだF1でのレース経験が浅く、ルーキー同然の立場だ。

確かにローソンのF1キャリアは順風満帆ではない。しかし、短期間での昇格・降格・復帰といった経験は、今後のF1人生に必ず生きてくるはずだ。同様の経験をしたアルピーヌのピエール・ガスリーも安定感を高め、今はトップドライバーに返り咲いている。

彼は言う。

「単発のいい結果じゃなくて、もっと安定して戦いたい。中団で毎戦ポイント争いをするのは簡単じゃないけど、それが目標だよ」

来月には夏休みを迎えるF1。その前にローソンがもう一度、強烈なインパクトを残せるか注目だ。