F1を観ていると、後ろのマシンが前のマシンにピッタリとついて直線で加速し、追い抜きを仕掛けるシーンを目にすることがある。
これが「スリップストリーム(Slipstream)」と呼ばれる現象。

簡単に言うと、
前のマシンの後ろに入って空気抵抗を減らし、速度を伸ばす走り方

│なぜ速くなるの?

F1マシンは高速で走るとき、空気抵抗(ドラッグ)によってスピードが制限される。
しかし、前を走るマシンが空気を切り裂いて進むことで、その後ろには乱流が少なく抵抗の小さい空気の帯が生まれる。

その帯に後ろのマシンが入ると、普段より空気抵抗が少なくなり、同じエンジンパワーでもスピードが出やすい

│スリップストリームの仕組み

  • 前のマシンが進むとき、後方に空気の流れ=スリップストリームが発生する

  • 後ろのマシンがその流れに入ると空気抵抗が減少する

  • 結果として、直線で加速しやすくなる

どんな時に使う?

  • 追い抜きの布石
    直線でスピードを伸ばし、ブレーキングポイントで前に出る。

  • 予選アタック
    チームメイト同士で協力し、前走車が後ろのマシンにスリップを渡すケースもある。

  • 燃料節約
    抵抗が減ることで燃費も良くなり、長距離走行に役立つこともある。

│注意点・デメリット

スリップストリームは有効ですが、コーナーでは逆効果になることがある。
乱れた空気(ダーティエア)によりダウンフォースが減り、マシンのグリップが低下してしまう。

そのため、直線ではメリットが大きい一方、コーナーでは車間を空けることが多いのが実際のF1。

まとめると、

  • スリップストリーム=前のマシンが作る空気の帯を利用して速く走る現象

  • 直線では有利だが、コーナーでは逆に不利になることもある

というF1ならではの駆け引きだ。