―フランコ・コラピントは2025年シーズンからアルピーヌのリザーブドライバー(サードドライバー)に就任することが発表された。

これにより、アルピーヌはベテランドライバーのピエール・ガスリーと2人のルーキーでドライバー陣営を固めた。

コラピントは2024年シーズン、ウィリアムズのローガン・サージェントの代役としてイタリアGPからデビューし、次戦のアゼルバイジャンGPで初入賞をするなどの好成績を見せた。Formula2ではMPモータースポーツチームで1勝、表彰台に2回食い込むなど好成績を残していたが、あまり露出できる機会を作れず、F1で大きく自身のパフォーマンスを露出する形となった。

―アルピーヌの動向とコラピントの市場

コラピントは昨年のシーズンで、ルーキードライバーとは思えない好成績を残したが、ウィリアムズはアレックス・アルボンと今シーズンからカルロス・サインツが加入することが決まっており、実質今季のシートはあまり見込めるものではなかった。これはF1ではよくあることで、例え1戦のみ好成績を収めても、シートが無いという厳しい現実も多くある。

実際にコラピントは2度の入賞をするも、アクシデントやリタイアで登場の輝きは少し薄れてしまったのも事実だろう。

だが、コラピントは複数チームからのアプローチがあったと考えられる。その中でもアルピーヌのボスを務めるフラビオ・ブリアトーレがコラピント獲得をした3つの動向ポイントが伺える。

①速い奴がF1ドライバーにふさわしい

ブリアトーレは1990年~2000年代にかけて多くのチーム責任者として多大なる功績を収めており、ミハエル・シューマッハやフェルナンド・アロンソなど多くのドライバーを引き抜き、後の世界王者に輝かせた。一方、冷酷な一面も多く、結果至上主義として数戦でドライバーを交代させたこともある。

ブリアトーレはコラピント獲得について語った。

「コラピントが現在モータースポーツ界で最も才能ある若手の一人であることは明らかだ。彼のパフォーマンスは新人ドライバーとしては非常に印象的だった。」

コラピントは現地点ではサードドライバーに位置付けられるが、今季からレギュラードライバーとして就任したルーキーのジャック・ドゥーハンは少し立場が危うい状況になっている。前半戦からベテランのガスリーに追いつく走りを求められるだろう。

②アルピーヌの財政問題

アルピーヌはここ数年、財政面やチーム運営で不安定さが指摘されており、エンジンサプライヤーとしても供給が現状1チームもない状況だ。

若手ドライバーに投資することで、コストを抑えながらも未来を担う人材を確保する動きと考えられる。コラピントはその「コストパフォーマンスの良い投資」として選ばれた可能性がある。

また、アルピーヌにとって、コラピントの加入は単なるドライバー育成に留まらず、南米市場への進出やファン層拡大を見据えているだろう。南米には熱狂的なF1ファンが多く、彼の成功は地域全体でのアルピーヌブランドの強化につながる。

アルピーヌは昨年シーズン、後半に進むにつれパフォーマンスが向上し、ブラジルGPではダブル表彰台も獲得する力を見せコンストラクターズも6位で終えている。今シーズンでの立ち位置はまだ未開の地ではあるが、コラピントは1歩前進したと言えるだろう。