2025年F1第9戦カナダGPの金曜フリー走行が行われ、通常とは異なる勢力図が浮かび上がった。ジル・ヴィルヌーヴ・サーキットではメルセデスやマクラーレン、そしてウィリアムズまでもが上位に名を連ねる一方、レッドブルは思うようにパフォーマンスを発揮できず苦戦。マックス・フェルスタッペンと角田裕毅は、それぞれ不安と希望が入り混じる初日を振り返った。
フェルスタッペン「FP1とFP2の間で“何か”を失った」
初回のフリー走行では、マックス・フェルスタッペンがトップタイムを記録。しかし、FP2では一転してペースが伸び悩み、最終的には9番手に沈んだ。タイム差はトップのジョージ・ラッセルに対して0.5秒以上。路面状況やコンディションの変化にうまく対応できなかったことが明らかとなった。
「正直、FP1はまずまずだったけど、FP2では何かが欠けていた。マシンのバランスに違和感があって、何かを失ったような感じだ」
とフェルスタッペンは語る。さらに、涼しいコンディションもレッドブルにとって逆風となり、ブレーキやタイヤの温まりの悪さに悩まされた。無線では「ブレーキが冷えていると効かない。FP1よりひどい」といったやり取りもあり、最終シケインを何度もカットする場面が見られた。
「ただ、マシンに根本的な問題があるとは思っていない。FP1の状態に戻せれば、週末をうまく進められるはずだ」
角田裕毅「絶対にQ3に行きたい。それが目標」
一方、チームメイトの角田裕毅も不安定なトラックコンディションと格闘しながら初日を消化。FP2では一時11番手につけたが、最終的には15番手に後退。フェルスタッペンとの差も0.273秒と開いた。
「フィーリング自体は悪くなかった。セットアップでも進歩はあった。ただ、最終的には十分ではなかった」
と角田は冷静に分析。ただし、その表情には確かな手応えもあった。
「明日は何か良いことが起こると分かっている。うまくいけばQ3進出も見えてくる。絶対に行きたい。それが目標だ」
マイアミGP以来となる予選Q3進出を目指す角田。マシンにさらなるセットアップ変更を加えることで、逆転の一手を狙う。
勢力図が混沌とする中、問われる“立て直し力”
今回のカナダGP初日は、メルセデス、マクラーレン、ウィリアムズ、そしてレッドブルと、複数チームのドライバーがトップ3を争う波乱の展開となった。これまでの“レッドブル一強”の構図とは異なる景色が広がりつつある。
チーム代表のクリスチャン・ホーナーは、前戦スペインでのインシデントについて、フェルスタッペンがチームに謝罪したことを明かすなど、チームの内部でも注目が集まる中で迎えるカナダGP。フェルスタッペンと角田は、それぞれに与えられた課題にどう対応するのか──。
すべては土曜日の予選、そして日曜日の決勝へとつながっていく。
