F1で現在使われているタイヤは、C1〜C5という5種類のコンパウンド(硬さ)から選ばれ、
レースでは「ソフト・ミディアム・ハード」の3種類に振り分けられている。
しかし2016〜2018年ごろには、もっと柔らかくて、今では少し“やりすぎ”と言えるタイヤが存在していた。
今回はその極限まで柔らかい「スーパーソフト」「ウルトラソフト」「ハイパーソフト」を紹介しよう。
ピレリがF1に参入した2011年以降、タイヤは毎年改良され、
ソフトコンパウンドの幅が次第に増えていきました。
2016年にはウルトラソフト、2018年にはついにハイパーソフトが登場。
ピンク色のサイドウォールが特徴で、ファンからも強い印象を残した。
│ なぜソフトタイヤがこんなに?
F1では「柔らかいタイヤ=高グリップ・速いラップタイム」という概念があった。
柔らかいゴムは路面にしっかり食いつくため、
ドライバーはより速いスピードでコーナーを曲がれますが、
その代償として耐久性が極端に低く、数周〜数十周で性能が落ちてしまう。
ピレリがF1の公式サプライヤーになった2011年以降、
レースをよりエキサイティングにするために「わざと寿命の短いタイヤ」を投入した。
これは1本で最後まで走れてしまうような“退屈な戦略”を避け、
チームごとにピットストップの回数やタイミングを工夫させる狙いがあった。
その結果、「スーパーソフト」よりさらに柔らかい「ウルトラソフト」「ハイパーソフト」など、
カラフルな新カテゴリーが次々と登場した。
│そのタイヤの種類
・スーパーソフト(赤)
導入:2011年から
特徴:市街地や低速コースでよく使われた
耐久性:短めだが、当時は「攻めの戦略」に使える武器だった
・ウルトラソフト(紫)
導入:2016年
特徴:スーパーソフトを超える柔らかさ。主にモナコやカナダなどで使用
寿命:予選1周の“タイムアタック専用”に近く、レースでは持たないことが多かった
・ハイパーソフト(ピンク)
導入:2018年
特徴:史上最も柔らかいF1タイヤ
寿命:予選では驚異的な速さを見せたが、レースでは数周しかもたないことも
│なぜなくなった
スーパーソフトやウルトラソフト、ハイパーソフトといった「極端に柔らかいタイヤ」は、
当初こそ話題を集めましたが、種類が増えすぎたことで逆効果になった。
観客目線:名前が多すぎて「どれが一番柔らかいの?」と混乱。
初めてF1を見る人にとっても分かりづらい。チーム目線:週末ごとにどのコンパウンドが持ち込まれるかを理解しづらく、戦略の比較が複雑化。
ショーとしての効果:寿命が短すぎて、実際のレースでは「ただすぐに交換されて終わる」場面が増え、
期待したほどの盛り上がりにつながらなかった。
こうした状況を整理するため、
2019年からは「ソフト(赤)・ミディアム(黄)・ハード(白)」の3種類に統一された。
実際にはピレリが用意する5種類のコンパウンド(C1〜C5)をサーキットごとに割り当て、
その週末は「赤=一番柔らかい」「黄=中間」「白=一番硬い」と呼ぶ方式になっている。
これにより、見た目はシンプル・中身は柔軟という形に落ち着き、
観客にも分かりやすく、チームにとっても戦略を立てやすくなったのだ。
│まとめ
スーパーソフト、ウルトラソフト、ハイパーソフトは、
F1の歴史に刻まれた“短命なスター”のような存在だった。
一瞬の速さを極限まで追求した結果、
「寿命が短すぎる」「分かりにくい」という理由で姿を消しましたが、
その派手な色分けと名前は今も多くのファンの記憶に残っている。
タイヤ戦略はF1を楽しむうえで欠かせない要素です。
現在のシンプルな3種類ルールの背景には、かつての「やりすぎタイヤ」の教訓があったのだ。