F1中継では、「ダーティエアの影響で近づけない」という表現が使われる。
ダーティエアは、前を走るマシンが作り出した乱れた空気を指す。
後方のマシンがダーティエアに入ると、空力性能が低下する。
ダーティエアを理解すると、F1で前車を追いかける難しさが分かりやすくなる。
│ダーティエアとは何か
ダーティエアとは、前を走るF1マシンによって流れが乱された空気である。
F1マシンは、フロントウイング、フロア、ディフューザー、リアウイングなどを通る空気を利用してダウンフォースを生み出す。
しかし、前車の後方では空気の流れが複雑に乱れている。
後方のマシンが乱れた空気の中を走ると、空力パーツへ安定した気流が届かなくなる。
その結果、後方のマシンが生み出せるダウンフォースは減少する。
│なぜ前車の後ろでは曲がりにくいのか
F1マシンは、ダウンフォースを利用してタイヤを路面へ押し付けている。
ダウンフォースが減少すると、タイヤが発揮できるグリップも低下する。
後方のマシンがダーティエアに入ると、コーナーでマシンの向きを変えにくくなる。
ドライバーは、前車から離れて走る場合よりも速度を落とす必要がある。
マシンが滑ると、タイヤ表面の温度も上がりやすくなる。
タイヤへの負担が増えると、長時間にわたって前車を追い続けることも難しくなる。
│スリップストリームとの違い
ダーティエアとスリップストリームは、どちらも前車が作る空気の影響である。
しかし、ダーティエアとスリップストリームは、マシンへ与える効果が異なる。
スリップストリームは、前車の後方で空気抵抗が小さくなる現象である。
後方のマシンは、主にストレートで加速しやすくなる。
ダーティエアは、乱れた気流によってダウンフォースが減る現象である。
後方のマシンは、主にコーナーで曲がりにくくなる。
つまり、前車の後方はストレートでは有利になる場合がある。
一方で、前車の後方はコーナーでは不利になりやすい。
│オーバーテイクに与える影響
後方のドライバーは、前車を追い抜くために距離を縮める必要がある。
しかし、距離を縮めるほどダーティエアの影響も強くなる。
後方のマシンがコーナーで速度を落とすと、次のストレートへ入る時点で前車との差が開く。
ストレートでスリップストリームやオーバーテイクモードを使っても、追い抜ける距離まで近づけない場合がある。
ダーティエアは、単純にマシンを遅くするだけではない。
ダーティエアは、追い抜きを仕掛けるために必要な距離まで接近することを難しくする。
│2026年F1では改善したのか
2026年のF1規則は、前車の後方でも走りやすいマシンを目指して作られた。
2026年マシンでは、フロントウイングが簡素化された。
前輪付近の気流を外側へ押し出す設計も制限された。
2026年マシンは、従来より少ないダウンフォースと、乱気流を抑える空力構造を採用している。
F1公式は、2026年マシンについて、コーナーで前車を追走しやすくすることが狙いだと説明している。
ただし、ダーティエアが完全になくなったわけではない。
2026年シーズンでも、ドライバーはクリーンエアで本来のペースを発揮しやすいと説明している。
2026年規則は、ダーティエアの影響を小さくすることを目指している。
しかし、前車の後方で空力性能が落ちる現象は、現在のF1にも残っている。
│まとめ
ダーティエアは、前車によって乱された空気である。
後方のマシンはダウンフォースを失い、コーナーで曲がりにくくなる。
スリップストリームは、ストレートで空気抵抗を減らす効果を持つ。
ダーティエアは、コーナーで空力性能を低下させる。
2026年F1では、ダーティエアを減らすために空力規則が変更された。
ただし、ダーティエアの影響は完全にはなくなっていない。