F1中継では、「ドラッグが大きい」「ドラッグを減らしたセットアップ」という表現が使われる。

ドラッグとは、F1マシンが空気の中を進むときに受ける空気抵抗である。
ドラッグが小さくなると、マシンはストレートで速度を伸ばしやすくなる。

しかし、F1ではドラッグを減らせば必ず速くなるわけではない。
コーナーを速く走るためには、ダウンフォースも必要になる。

F1チームは、直線速度とコーナリング性能の両方を考えながら空力を調整している。

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│ドラッグとは?

ドラッグとは、マシンの進行方向とは反対方向に働く空気抵抗である。

F1マシンは、周囲の空気を押し分けながら前へ進む。
空気は、マシンの進行を妨げる方向へ力を加える。
マシンを後ろへ押し戻す力がドラッグである。

ドラッグは、速度が高くなるほど急激に大きくなる。
最高速度が300km/hを超えるF1では、空気抵抗の影響も非常に大きい。

ドラッグは、マシンのさまざまな部分で発生する。
フロントウイングとリアウイングは、代表的な発生源である。
タイヤ、サスペンション、車体、冷却用の開口部も空気抵抗を生み出す。

F1はタイヤが車体の外側に露出したオープンホイールのマシンである。
タイヤやサスペンションは走行中の空気を直接受けるため、ドラッグの原因になりやすい。

ドラッグが大きい場合、マシンは直線で加速しにくくなる。
最高速度も伸ばしにくくなる。
同じ速度を維持するために必要な出力も大きくなる。

F1チームは、必要な機能を維持しながら、無駄なドラッグをできるだけ減らすことを目指している。

│ダウンフォースとドラッグの関係

ドラッグを理解するうえで、ダウンフォースとの関係は重要である。

F1マシンのウイングは、空気を利用してダウンフォースを生み出す。
ダウンフォースが増えると、タイヤは路面を捉えやすくなる。
マシンはコーナーを高い速度で走りやすくなる。

一方で、ウイングで大きなダウンフォースを生み出すと、ドラッグも増えやすい。

ウイングを低ダウンフォース寄りの設定にすると、ドラッグを減らしやすくなる。
直線では最高速度を伸ばしやすくなる。
一方で、コーナーで得られるダウンフォースは減少する。

セットアップ直線コーナー
ダウンフォース重視最高速度を伸ばしにくい空力グリップを得やすい
ドラッグ削減重視最高速度を伸ばしやすい空力グリップが減りやすい

ドラッグを完全になくすこともできない。

F1マシンは、コーナリングのためにダウンフォースを必要とする。
ブレーキやパワーユニットを冷却するためには、外部から空気を取り込む必要もある。
マシンの空力バランスを整えるためにも、フロントウイングやリアウイングは重要になる。

最高速度だけを重視してドラッグを減らすと、コーナリング性能が不足する可能性がある。

F1では、直線だけではなく1周全体のラップタイムが重要になる。
チームは、必要なダウンフォースを確保しながらドラッグを減らす設計を追求している。

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│サーキットによって空力バランスは変わる

最適なドラッグとダウンフォースのバランスは、サーキットによって異なる。

モンツァには長いストレートが多い。
チームはドラッグを抑え、最高速度を伸ばすセットアップを重視する。
リアウイングも比較的小さなダウンフォース仕様が使われやすい。

モナコには低速コーナーが多い。
最高速度よりも、コーナーでのグリップが重要になる。
チームはドラッグが増えても、大きなダウンフォースを確保するセットアップを選びやすい。

スパ・フランコルシャンには、長いストレートと高速コーナーの両方がある。
チームは直線速度とコーナリング性能を両立させる必要がある。

ドラッグが少ないマシンほど優秀というわけではない。
サーキットの特徴に合った空力バランスを作ることが重要である。

│スリップストリームでドラッグが減る理由

前車の後方では、後続車が受ける空気抵抗が小さくなる場合がある。

先行車は、走行しながら前方の空気を押し分ける。
後続車が先行車の後方へ入ると、単独走行よりも空気抵抗を小さくできる。

この現象がスリップストリームである。

後続車は、同じパワーでも速度を伸ばしやすくなる。
長いストレートでは、スリップストリームがオーバーテイクを助ける場合がある。

ただし、前車の後方にはダーティエアも発生する。
ダーティエアは、コーナーで後続車のダウンフォースを低下させる。

ストレートでは、スリップストリームが有利に働く。
コーナーでは、ダーティエアが不利に働く。

前車が作る空気は、走行する場所によって後続車へ異なる影響を与える。

│2026年F1はストレートモードでドラッグを減らす

2026年F1では、前後ウイングを動かすアクティブエアロが採用されている。

指定された区間では、全車がストレートモードを使用できる。
ストレートモードでは、フロントウイングとリアウイングの可動部分が低ドラッグの位置へ移動する。

ウイングが低ドラッグ状態になると、ダウンフォースと空気抵抗が減少する。
マシンは、ストレートで効率よく速度を伸ばしやすくなる。

コーナーでは、ウイングがコーナーモードへ戻る。
コーナーモードでは、旋回に必要なダウンフォースを確保する。

2026年F1では、走行する場所に合わせて空力状態を変更できる。
ストレートモードは、ドラッグとダウンフォースのバランスを走行中に変更する代表的な機能である。

│まとめ

ドラッグは、F1マシンの進行を妨げる空気抵抗である。

ドラッグが小さくなると、マシンは直線で最高速度を伸ばしやすくなる。
一方で、ダウンフォースを生み出す空力パーツはドラッグも発生させやすい。

F1チームは、サーキットの特徴に合わせてドラッグとダウンフォースのバランスを調整している。

2026年F1では、ストレートモードによって指定された区間で走行中のドラッグを減らせるようになった。

ドラッグを理解すると、モンツァとモナコでウイング設定が大きく異なる理由や、F1マシンが最高速度だけを追求しない理由も分かりやすくなる。