F1のレースで「スタートの瞬間」といえば、シグナルの消灯と同時にマシンが一斉に加速する、あの迫力あるシーンを思い浮かべる人も多いはず。
しかし、実はその直前には「フォーメーションラップ(Formation Lap)」という大切な“準備時間”がある。

レースの勝敗を左右することもある、影の重要ラップを詳しく解説しよう。

✅ まとめポイント

  • フォーメーションラップとは?:レース開始前に全車が1周だけ行う準備走行

  • 目的は?:タイヤとブレーキのウォームアップ、マシンの最終チェック

  • 走行順は?:予選順位のままグリッドを1列ずつスタート

  • 注意点!:この周回でクラッシュやトラブルが起きたら、そのマシンはピットスタートなどに変更される場合も

│ 実は「レースの一部」ではない?

フォーメーションラップは、レースの周回数にはカウントされない特別な1周
いわば、マシンとドライバーが「これから始まる戦い」に向けて最終調整を行う、いちばん緊張する時間帯でもある。

│ 何をしているの?

フォーメーションラップ中、ドライバーたちは次のようなことを行っている:

・タイヤを温める:左右にステアを切ったり、加減速を繰り返してグリップを上げる
・ブレーキを温める:何度も強めにブレーキをかけて温度を最適に
・クラッチやエンジンの確認:スタートに向けてレスポンスを最終確認
・エンジニアとの会話:無線でデータや状況を共有

フォーメーションラップの終わりに、各マシンは再び自分のグリッド位置に止まり、いよいよスタートを待つ。

このとき正確に所定位置に止まれないとペナルティになることもあるため、ドライバーの集中力は最高潮に達している。

│ 異常があれば再スタートも

・マシンが途中で止まってしまった
・グリッドに戻れなかった
・複数台がトラブルを起こした

こういった場合、追加のフォーメーションラップ(再スタート)になることもある。

サイレンスの中に響くエンジン音、温められるタイヤ、静かに進むマシンたち。
フォーメーションラップは、まさに嵐の前の静けさだ。

ここでいかに準備を整え、集中を高められるかが、スタート成功の鍵を握るのだ。