F1マシンの中でも、見た目にはわかりづらいがとても重要なパーツがウィングだ。
その中でも時々話題になるのが「フレキシブルウィング(Flexible Wing)」と呼ばれる、しなる翼のことだ。
実はこの“しなり”には、F1ならではの奥深い工夫が詰まっており、近年のF1では不正問題の可能性も浮き出ている。
■ポイント
- フレキシブルウィングとは?:風の力で“しなる”ように設計されたウィング
- 狙い:低速ではダウンフォース、高速では空気抵抗を減らす!
- ルール的には?:動くパーツは禁止だが、“しなる”のはギリOKな時代もあった
- 現在:FIAが検査を強化し、厳しくチェックされている
■ そもそもウィングって何のためにあるの?
F1マシンのウィング(フロントウィングやリアウィング)は、
風の力で車体を地面に押しつける「ダウンフォース」を生み出す役割があります。
ダウンフォースが大きいと、高速コーナーでもマシンが路面に張りついて安定するため、タイムが縮まる。
■ フレキシブルウィングは何がすごいの?
フレキシブルウィングとは、スピードによって“しなる”ウィングのこと。
低速のとき:しなっていない → ダウンフォースをしっかり発生させる
高速のとき:風の圧力で少ししなる → 空気抵抗を減らす(直線が速くなる)
つまり、コーナーでも直線でも速くなる“いいとこ取り”の工夫がされている。
■ でもそれってズルじゃないの?
F1のルールでは、“動くパーツ”は禁止されています。
なので、ウィングが「目に見えて動いている」と判断されるとレギュレーション違反になります。
ただしフレキシブルウィングは、
「風の力(自然な力)で、あくまで“しなる”だけ」というグレーゾーンを使って工夫されてきたのです。
これがいわゆる「ルールの抜け穴」をついたテクニックと呼ばれる所以です。
■ 実際に問題になったこともある?
実は既に何度も問題になっている。
特に2021年のレッドブルとメルセデスの争いでは、リアウィングのしなり具合が話題に。
他チームからの抗議が入り、FIA(国際自動車連盟)がウィングのたわみ量を測定する検査方法を強化している。
それによって、「フレキシブルすぎるウィング」は規制されているのだ。
