
ロマン・グロージャンが約5年ぶりにハースF1マシンへと戻ってきた。イタリア・ムジェロ・サーキットで行われたテスト走行は、彼にとって忘れられない一日となり、最後は観客や関係者からのスタンディングオベーションで幕を閉じた。
│事故からの5年、古巣ハースへ

グロージャンは2016年から2020年まで、ハースF1チームでレースに参戦。だが2020年のバーレーングランプリで起きた大クラッシュにより、彼のF1キャリアは突然終わりを迎えた。バリアに突っ込みマシンが炎上する衝撃的な事故から奇跡的に生還したが、両手に火傷を負い、F1の舞台から姿を消すことになった。
その後はインディカーなどでキャリアを続けていたが、今回、古巣ハースがTPC(旧車テスト)の一環として復帰の機会を提供。感動的な“帰還”が実現した。
│ムジェロでの特別な走行

テストに使用されたのはVF-23。グロージャンは、2020年アブダビGPで着用予定だった「子どもたちがデザインしたヘルメット」をかぶってコースに登場した。雨に見舞われたセッションだったが、「雨の日は幸せな日」と笑い飛ばし、久しぶりのF1マシンを楽しんだ。
さらに、2020年の事故以来となるスタンディングスタートにも挑戦。本人も「前回よりずっと良い結果だった」と振り返った。
│チームメンバーと旧友が見守る中で

この特別なテストには、ハース代表の小松礼雄をはじめ、かつてグロージャンを支えた多くのメカニックやスタッフが集結。フェラーリのフレッド・ヴァスール代表や、ピレリ、レッドブルの関係者も見守った。
セッションを終えてピットに戻る際には、集まった全員がスタンディングオベーションを送り、グロージャンは「泣かされてしまった」と感情を隠せなかったという。
「バーレーンから5年、ついにムジェロで戻ってくることができました。マネーグラム・ハースF1チームに心から感謝します。
本当に特別な一日でした。最後のインラップでみんなが拍手してくれて、涙をこらえることができませんでした。」
│小松礼雄代表のコメント

「ロマンが我々のマシンで復帰することは、まさにふさわしい出来事です。旧クルーが集まり、彼にとっても我々にとっても特別な一日になりました。ロマンは全力を尽くして走ってくれましたし、再び一緒に仕事ができたことを嬉しく思います。」
あの壮絶な炎上事故から5年。安全性の進化と不屈の精神を象徴する存在となったグロージャンが、再びハースのマシンを操った瞬間は、F1ファンにとっても感動的な出来事だった。
「炎から生還した男」は、再びF1のステアリングを握り、拍手喝采の中で涙を流した。グロージャンにとっても、ハースにとっても、そしてファンにとっても、忘れられない一日となった。