F1中継を見ていると、「このサーキットはバンプが多い」「マシンが路面の凹凸で跳ねている」といった解説を耳にすることがある。
バンプとは、サーキットの路面に存在する凹凸のことだ。
一般道にも段差や路面のうねりは存在する。しかし、F1マシンは車高が低く、タイヤの接地状態や空力性能が速さに大きく影響するため、小さな凹凸でも走行性能が変化する場合がある。
特に高速走行中にバンプを通過すると、マシンが上下に揺れ、ブレーキングやコーナリングが不安定になることもある。
では、なぜ高速で走行するF1サーキットの路面に凹凸ができるのだろうか。
今回はバンプが発生する理由から、F1マシンへの影響、チームの対策まで解説する。さらに、バンプが長年の課題となっているアメリカGPの開催地、サーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA)についても紹介する。
│F1のバンプとは?
F1におけるバンプ(Bump)とは、サーキットの路面に存在する隆起や沈み込みなどの凹凸を指す。
短い範囲で発生する段差もあれば、長い距離にわたって路面が緩やかに上下するうねりもある。
マシンがバンプを通過すると、タイヤや車体が上下に動き、路面との接地状態やマシンの姿勢が変化する。
ただし、サーキットに存在するすべての高低差がバンプというわけではない。
コースの設計によって設けられた長い上り坂や下り坂は、一般的にバンプとは区別される。
また、コーナーに設置された縁石(カーブストーン)も、通常の路面に発生するバンプとは異なる。縁石はコースの境界を示すためなどに意図的に設置された設備だ。
バンプは、舗装や地盤の状態などによって路面に発生する凹凸を指す。
│なぜサーキットの路面は凸凹になるのか?
F1サーキットは、レーシングカーが高速で走行できるように舗装されている。しかし、建設時に平坦だった路面が、その状態を維持し続けるとは限らない。
バンプが発生する原因はいくつかある。
まず、大きな要因となるのが地盤の変化だ。
サーキットの舗装は地盤の上に造られているため、地盤が沈下したり持ち上がったりすると、路面にも凹凸が発生することがある。
特に水分量によって膨張や収縮を繰り返す土壌では、地盤の変化が舗装に影響する場合がある。
また、気温や雨も関係している。
アスファルトは温度によって性質が変化し、雨水が舗装の隙間から入り込むと、下にある路盤や地盤に影響することもある。
こうした変化が繰り返されることで、舗装のひび割れや変形につながる場合がある。
さらに、車両の通行や舗装の補修も路面状態に関係する。
特に市街地サーキットでは、普段から一般車両や大型車両が走行している。舗装の継ぎ目や補修跡に高さの差が生じれば、その部分がバンプになることもある。
一方、常設サーキットでも地盤の変化や舗装の劣化は発生する。
バンプは市街地コースだけの問題ではなく、常設サーキットでも発生する可能性がある。
│バンプはF1マシンにどんな影響を与える?
バンプの影響は、単にマシンが上下に揺れることだけではない。
特に重要なのが、タイヤと路面の接地状態だ。
マシンが大きなバンプを通過すると、タイヤにかかる荷重が急激に変化する。状況によってはタイヤが一瞬路面から離れることもあり、グリップを安定して発揮しにくくなる。
ブレーキング中にバンプを通過した場合は、タイヤがロックしやすくなったり、マシンの姿勢が乱れたりすることもある。
また、車高が低いF1マシンでは、底面が路面に接触する「底打ち(ボトミング)」も問題になる。
底打ちが繰り返されると、車体下面にあるプランクなどが摩耗する可能性がある。F1にはプランクの摩耗量に関する規定があり、基準を超えれば失格につながる場合もある。
さらに、車体が上下することで、車体下面を流れる空気の状態が変化する。
その結果、ダウンフォースが不安定になり、コーナリング性能に影響する場合がある。
バンプの衝撃はドライバーの身体にも伝わる。大きな振動が続けば、首や背中への負担が増え、ブレーキングポイントなどを確認しにくくなることもある。
バンプはタイヤのグリップ、ブレーキング、空力性能、そしてドライバーの操作にも影響する。
│バンプが多い場合、チームはどう対応する?
バンプが多いサーキットでは、チームは車高やサスペンションを調整して対応する。
車高を上げれば、マシンの底面が路面に接触する「底打ち」を減らせる場合がある。また、サスペンションを調整することで、路面の凹凸による衝撃やタイヤの接地状態を改善できる。
しかし、車高やサスペンションの変更は空力性能やコーナリング性能にも影響するため、単純に調整すればよいわけではない。
チームはバンプへの対応と速さのバランスを考えながら、最適なセットアップを探している。
│COTAではなぜバンプが問題になっている?
バンプの問題で知られているサーキットのひとつが、アメリカGPの開催地であるサーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA)だ。
COTAが建設された地域には、水分量によって膨張や収縮を繰り返す粘土質の地盤が存在する。地盤が動くことで、舗装にも凹凸が発生しやすいとされている。
そのため、COTAでは2022年や2024年に大規模な再舗装が行われた。しかし、改修後も一部の区間にはバンプが残り、ドライバーから指摘されている。
また、2023年のアメリカGPでは、ルイス・ハミルトンとシャルル・ルクレールがマシン底面のプランク摩耗規定に違反して失格となった。路面の凹凸も、摩耗が増えた背景のひとつとして挙げられている。
COTAは、地盤の性質によってバンプへの対応が難しく、再舗装を繰り返しても課題が残るサーキットだ。
│まとめ:COTAはアメリカGP復活の象徴
現在のアメリカGPがオースティンで開催されている背景には、アメリカでF1を復活させようとした関係者の挑戦がある。
地元出身のプロモーターによる誘致計画から始まり、投資家の協力とサーキット建設を経て、2012年にCOTAでアメリカGPが復活した。
急な上り坂のターン1や、世界各地の名コーナーを参考にしたレイアウトも、COTAを特徴づけている。
F1のアメリカ復活を目指して建設されたCOTAは、現在ではアメリカのF1を代表するサーキットのひとつとなった。