モナコGPを前に、メルセデス、レッドブル、マクラーレンが特徴的なリアウイング周辺パーツを持ち込んだ。
F1公式サイトでは、各チームがリアウイング付近に小さなウィングレットを追加したと紹介されている。
ウィングレットとは、小さな翼のような空力パーツのことである。
今回のパーツは、見た目にもかなり目立つ。
リアウイングの中央付近から、小さな翼が上に伸びるような形になっている。
メルセデス、レッドブル、マクラーレンは、モナコGPに合わせてこの部分を工夫してきた。
では、なぜモナコGPでこのようなパーツが登場したのだろうか。
理由は、モナコというコースの特徴にある。
│モナコでは最高速よりダウンフォースが重要になる
モナコ市街地コースは、F1カレンダーの中でも特に特殊なサーキットである。
コース幅は狭い。コーナーも多い。長いストレートは少ない。
そのため、モナコでは最高速よりも、低速コーナーを安定して曲がる力が重要になる。
この曲がる力に大きく関わるのが、ダウンフォースである。
ダウンフォースとは、空気の力でマシンを路面に押しつける力のことだ。
ダウンフォースが大きいと、マシンはコーナーで安定しやすくなる。
タイヤも路面をつかみやすくなる。
一方で、ダウンフォースを増やすと空気抵抗も増えやすい。
空気抵抗が増えると、ストレートスピードは伸びにくくなる。
通常のサーキットでは、ダウンフォースと空気抵抗のバランスが重要になる。
しかし、モナコでは事情が違う。
モナコはストレートが短く、最高速の重要度が低い。
そのため、多少空気抵抗が増えても、コーナーで安定するメリットのほうが大きくなりやすい。
今回のウィングレットは、その考え方を表している。
小さな翼を追加することで、リアウイング周辺からさらにダウンフォースを引き出そうとしている。
│ストレートモードなしで生まれた空力の工夫
2026年のF1では、アクティブエアロが導入されている。
通常は、状況に応じて空力の状態を切り替える仕組みが使われる。
しかし、モナコGPではストレートモードが使われない。
モナコは長いストレートが少なく、ストレートで空気抵抗を減らす効果が小さいからである。
その結果、通常ならストレートモードの機構が置かれる部分を、別の使い方にできる余地が生まれた。
F1公式では、これはレギュレーション上のすき間を活用したものだと説明されている。
リアウイング全体の寸法や高さは厳しく決められている。
しかし、中央の小さな部分には、空力切り替え機構を入れるための例外的な扱いがある。
各チームは、その部分をうまく使った。
メルセデスは、より複雑な形状のウィングレットを取り付けた。
レッドブルは、アクチュエーターポッドを別の用途に使い、2つのウィングレットを支える形にした。
このようなパーツは、通常のサーキットではあまり効果的ではない可能性が高い。
ダウンフォースが少し増えても、空気抵抗が増えすぎるからである。
しかし、モナコでは空気抵抗のデメリットが小さい。
つまり、モナコGPは特殊な空力パーツを試しやすい場所でもある。
今回のウィングレットは、モナコで必要なダウンフォースを少しでも増やすための工夫と言える。